Hana’s Note

「いちばん点数が高いAIを選べばいい」と思ったら、表には違う種類の点数がたくさん並んでいる。速さを比べた数字と、難しい科学問題を解いた数字は、同じ“強さ”なのかな。ここをほどくと、自分に合う選び方が見えてきそうにゃ。

Current snapshot|この記事で比べるもの

この記事の問いは、2026年8月時点で、どのAIモデルが自分の用途に合うかです。GPT、Claude、Gemini、Grok、DeepSeek、Kimiの現行モデル群を、難しい推論、日常利用、コーディング、Web調査、画像・長文、費用、open-weightという観点から見ます。

画像や動画を作る専用モデル、企業ごとの非公開契約、すべての国・プランは対象外です。製品の利用上限や価格は変わりやすいため、契約前には公式ページを再確認してください。

比較メモ

  • 最終確認: 2026-08-16(JST)
  • 比較時点: 2026年8月
  • 対象: GPT-5.6、Claude 5、Gemini 3.7 Flash、Grok 4.6、DeepSeek V4、Kimi K3を中心とする現行モデル
  • 検証状態: 仕様・価格・提供方針は主に公式情報を確認。横断性能は独立評価で補完。日本語文章品質には未確認事項あり

At a glance|先に候補を絞る

あなたが重視することまず試す候補選ぶときの注意
難しい推論・複雑な成果物Claude Opus 5、GPT-5.6 Sol高い推論設定は料金と待ち時間も増える
長時間の自律的な作業Claude Fable 5高価。安全分類後に別モデルで再試行される設定もある
日常利用のバランスClaude Sonnet 5、GPT-5.6 Terra/Luna、Gemini 3.7 Flash日本語の好みと製品の利用上限を自分で比較する
コーディングOpus 5、GPT-5.6 Sol、Fable 5、Grok 4.6、Kimi K3モデルよりツールとテスト環境が結果を変える場合がある
図表・画像・長い資料GPT、Claude、Gemini、Grok、Kimiの対応モデル「長い入力が入る」と「全体を正確に読める」は別
API費用を抑えるDeepSeek V4、Gemini 3.7 Flash、GPT-5.6 Luna出力量、再試行、長文割増を含む総費用で見る
open-weight/自前運用Kimi K3、DeepSeek V4重みの公開は、普通のPCで簡単に動くという意味ではない

これは順位表ではありません。たとえば、最高難度の問題を少数解く人と、毎日大量の文書を低コストで処理する人では、よい選択が逆になります。

まず知っておきたい現在地

最高性能側は、一社だけが離れているわけではない

独立評価機関Artificial Analysisの2026年8月16日時点の複合指標v4.1.1では、Claude Opus 5のmax設定が63、Claude Fable 5のフォールバック込み構成が62、GPT-5.6 SolとGrok 4.6の高推論設定がともに61でした。差はありますが、これだけで実利用の勝者を決められる幅ではありません。

この指標は、エージェント34%、コーディング24%、科学24%、一般能力18%という重みで9種類の評価をまとめたものです。英語・テキスト中心で、料金、速度、日本語の書き味、製品の使いやすさは含みません。さらにmaxhighは通常より多く推論する設定で、Fable 5の値は安全分類後に別のClaudeで再試行する設定を含み得ます。つまり、数字はモデル名だけでなく、設定を含む一つの構成を表しています。

バランス型と低価格型も同じ世代に広がった

OpenAIはGPT-5.6をSol、Terra、Lunaに分け、AnthropicはFable、Opus、Sonnetを異なる役割と価格で提供しています。GoogleのGemini 3.7 Flashは、公式にはコーディングやエージェントを含む最新の安定したworkhorse(幅広い仕事を担うモデル)と位置づけられています。

Gemini 3.7 Flashも独立複合指標へ追加され、high設定で56でした。ただし、公式文書の更新から3日しかたっていない時点の値です。一つの初期スコアだけで、文章、画像、製品機能を含む総合順位は決まりません。 新しいモデルほど、実利用の評価が蓄積するまで慎重に読みます。

open-weightは「選べる場所」を増やす

Kimi K3とDeepSeek V4は、モデルの重みが公開されるopen-weightの候補です。自前の環境へ組み込む道があり、API価格も商用最上位モデルより低い水準です。

一方、Kimi K3の技術報告は2.8兆の総パラメータ、1,040億の活性パラメータを示しています。DeepSeek V4にも大規模なProと軽量側のFlashがあります。open-weightでも、必要なGPU、量子化、ライセンス、保守、安全対策を考えると、一般的なノートPCで簡単に使えるとは限りません。

主要モデルの特徴を一行ずつ見る

ここでいう「特徴」は、公式の役割・仕様と独立評価から確認できる範囲です。文章の性格や使い心地を、少数の感想からモデル固有の性格として決めてはいません。

モデル確認できた特徴まだ言えないこと
GPT-5.6 Sol高難度推論、コーディング、Web探索、PC操作を含む上位候補あらゆる日常用途で一位とは言えない
GPT-5.6 Terra/Luna同世代の機能を、バランス/低価格側へ分けた候補日本語文章と実業務の修正量は未比較
Claude Fable 5長時間・複雑なエージェント作業を狙う最上位候補「いつも主体的」と一般化できない。フォールバックもある
Claude Opus 5深い推論、コーディング、PC操作の上位候補文体の好みは独立した人間比較が必要
Claude Sonnet 5速度と能力のバランスを狙い、広い製品プランで使える期間限定価格と独立評価の不足に注意
Gemini 3.7 Flash最新安定のマルチモーダルworkhorse、組み込みツール対応初期の独立評価だけで実利用全体の順位は決められない
Grok 4.6コーディング、長時間エージェント、画像・対話的成果物の現行候補4.5からの改善は主に提供者評価で、幅広い実利用比較は限定的
DeepSeek V4低価格、長い文脈、open-weight。GAのProと軽量側のFlashを選べるAPIはテキストのみ。2026年8月17日から価格体系が変わる
Kimi K3native vision、長い文脈、open-weightの現行候補一般的なPCで容易に動くとは言えない

Why the differences exist|同じAIなのに差が出る理由

モデルと製品は別の層

ChatGPTやClaudeは製品名、GPTやClaude Opusはモデル名です。製品には、検索、ファイル処理、メモリ、音声、コード実行、利用上限が組み合わさります。

同じモデルでも、Web検索を使えるか、コードを実行できるか、何回まで考え直せるかで結果は変わります。反対に、同じ製品でも、無料・有料プランや課題の種類によって選べるモデルや裏側の処理が異なる場合があります。

Web調査なら「どのモデルか」だけでなく、次の流れが重要です。

  1. 最新情報を検索できる。
  2. 一次情報のリンクを示せる。
  3. 主張とリンク先の内容が一致するか確認する。
  4. 日付と不確実な点を残す。

モデルが賢くても、検索や引用の工程がなければ、もっともらしい古い情報を返す可能性は残ります。

コーディングでは、AIの周りにある道具が効く

コーディング評価では、AIがリポジトリを読み、コマンドを実行し、テストで失敗を見つけ、修正を繰り返します。この仕組みをagent harness(エージェントを動かす枠組み)と呼びます。

同じモデルでも、使えるコマンド、テスト時間、ファイル権限、試行回数が違えば成績は変わります。各社の発表表には異なるハーネスやフォールバックを使った値が混ざることがあるため、数ポイントの差をモデル単体の差だと読むのは危険です。

文脈長は「入る量」であって、理解の保証ではない

GPT-5.6、Claude 5、Gemini 3.7 Flash、Kimi K3は、公式仕様で約100万トークン級の入力枠を持ちます。これは本や大量のコードを一度に渡せる大きな容量です。

しかし、長い入力のどこにある情報でも同じ精度で探せるとは限りません。表、脚注、矛盾する記述、複数ファイルの関係を正しく扱えるかは、実際の資料で確認する必要があります。「100万トークン対応」を、そのまま「100万トークンを完全に理解」と読み替えないことが大切です。

ベンチマークの数字は、何を測っている?

ベンチマークはAIの健康診断に少し似ています。視力検査の数字だけで体全体を説明できないように、一つの試験は一つの能力しか測りません。

名前主に測ること数字を見るときの注意
GPQA Diamond物理・化学・生物の難しい選択問題198問の固定セット。実際の研究や文献確認ではない
Humanity’s Last Exam多分野の非常に難しい短答・選択問題検索やコードなど、ツールの有無で別の条件になる
SWE-bench系実リポジトリのissueを直せるかモデル、エージェント、テスト環境をまとめて測る
Terminal-Benchターミナルで複数手順の作業を終えられるか環境、時間、権限、外部依存に敏感
BrowseCompWebから見つけにくい短い答えを探せるか長文の調査品質や引用の正しさ全部は測らない
OSWorld実アプリの画面操作を終えられるか画面・ツール・OS環境の影響が大きい
LM Arena二つの匿名回答のどちらを人が好むか好みであり、事実の正しさだけの順位ではない
MMMU-Pro図表や画像を含む大学レベルの問題選択式で、画像の渡し方やツール有無が効く

「pass@1」と「pass@k」は違う

pass@1は最初の一回で成功する割合です。pass@kは複数回試したときに一度以上成功する可能性を見る指標です。5回挑戦できるAIと、1回だけのAIを同じ数字として比べることはできません。

たとえば数学コンテストAIMEは1年15問です。1問違うだけで約6.7ポイント動くため、年度、試行回数、コード利用の有無が違えば、小さな差は簡単に入れ替わります。

公開テストには、飽和と混入の問題がある

SWE-bench Verifiedは、実際のGitHub issue 500件を人手で検証した重要なコーディング評価でした。しかしOpenAIは2026年、frontierモデルの比較には使わないと表明しました。失敗例の監査でテスト設計上の問題が多く見つかり、公開データへの過学習や飽和も比較を難しくしたためです。

これは「ベンチマークが無意味」という話ではありません。測定器にも有効な範囲と寿命があり、難度やデータを更新し続ける必要がある、という例です。

How to read this comparison|用途から選ぶ

1. 難しい推論や複雑な成果物

長い分析、複数の条件を含む計画、高い精度が必要な成果物なら、Claude Opus 5かGPT-5.6 Solを最初の候補にできます。長時間の自律作業を任せる設計ではClaude Fable 5も候補ですが、API単価が高く、安全分類で拒否された要求を設定によりOpus 4.8またはOpus 5で再試行する場合があります。

重要なのは、高価なモデルを常用することではありません。普段はバランス型を使い、難問だけ上位モデルへ切り替える運用も現実的です。

2. 日常の相談、要約、文章

Claude Sonnet 5、GPT-5.6 Terra/Luna、Gemini 3.7 Flashが候補です。ただし、この記事では日本語の自然さを同じ課題で人間比較していません。文章の好みはベンチマーク値から決めず、実際のメール、要約、説明文を匿名にして読み比べるのが確実です。

無料・定額製品ではAPI単価よりも、回数制限、ファイル容量、検索機能、履歴やメモリの使いやすさが体験を左右します。

3. コーディング

Claude Opus 5、GPT-5.6 Sol、Claude Fable 5に加え、Grok 4.6やKimi K3も候補です。ただし「一問のコードを書く」ことと「既存リポジトリを安全に直す」ことは違います。

自分の環境で比べるなら、次を同じにします。

  • 同じissueとリポジトリの状態
  • 同じツール・権限・制限時間
  • 同じテストと完了条件
  • 同じ試行回数
  • 完了までの時間、API費用、人間が直した量

実装が成功しても、不要なファイルを変えたり、テストを弱めたりしていないか確認が必要です。

4. Web調査と学術用途

検索と出典表示を持つ製品の上位モデルを候補にし、モデル名より一次情報へ戻れるかを重視します。BrowseCompで高得点でも、引用先が主張を支えるか、論文と解説記事を区別できるか、最新日付を確認できるかは別の作業です。

科学問題のGPQAやHLEで高得点でも、新しい研究を正しく評価したことにはなりません。論文の実在、該当箇所、計算、実験条件を人間が確認します。AIの回答は、結論ではなく調査の出発点として使うのが安全です。

5. 費用を抑えたいAPI利用

2026年8月16日の公開標準価格では、GPT-5.6 Solが入力$5/出力$30、Claude Opus 5が$5/$25、Grok 4.6が$2/$6、DeepSeek V4 Proが$0.435/$0.87、同Flashが$0.14/$0.28でした。Gemini 3.7 Flashは2026年末まで入力$0.75/出力$3.75の導入価格を掲げています。

このうち、DeepSeekは2026年8月17日01:00(JST)からpeak/off-peak制へ変更予定です。cache miss時のProはoff-peak $0.66/$1.98、peak $1.32/$3.96、Flashはoff-peak $0.22/$0.66、peak $0.44/$1.32になります。またGPT-5.6は272K超の入力でリクエスト全体の入力が2倍・出力が1.5倍、Grok 4.6は200K以上で入力・出力が2倍です。

ただし、安いモデルでも回答が長い、何度もやり直す、長文割増がある、キャッシュが効かない場合は総費用が増えます。100万トークンの単価だけでなく、一つの仕事を人間の確認まで終える費用で比べます。

自分の仕事で確かめる小さなテスト

公開ベンチマークより、自分の課題に近い小さな評価のほうが役立つことがあります。

  1. 実際によく行う課題を3〜5件選ぶ。
  2. 個人情報や機密情報を除き、同じ指示を各候補へ渡す。
  3. モデル名を隠して、人間が結果を評価する。
  4. 正確さ、修正量、完了時間、費用を記録する。
  5. 正解がない文章では「好き」だけでなく、目的を満たすかを見る。
  6. 難しい課題は別のAIまたは一次情報で検証する。

モデル選びを一度きりの決定にせず、「日常用」「難問用」「低価格の大量処理用」のように役割を分けると、更新にも対応しやすくなります。

Limitations and what may change

  • 価格、モデル名、stable/preview、製品プラン、利用上限は変更される。
  • Gemini 3.7 Flashは独立複合評価へ追加されたが、非常に新しく、実利用の評価蓄積は少ない。
  • DeepSeek V4は2026年8月17日01:00(JST)に価格体系が変わるため、発効後の表示と実請求は未確認である。
  • 日本語文章、引用品質、長文検索について、この記事独自の人間A/B評価は行っていない。
  • 独立複合指標も、採用した課題と重みによる一つの見方である。
  • 企業向けのデータ保持、学習利用、監査、地域条件は契約ごとに確認が必要である。
  • 公式発表のベンチマークは一次情報だが、提供者自身の測定であり、他社の異なる表と直接比較できない場合がある。

したがって、この記事の候補は2026年8月16日のスナップショットです。公開前や契約前には、記事冒頭の比較メモの日付と公式情報を照合してください。

Summary

2026年8月時点で、すべての用途に共通する一つの「最強モデル」は決められません。最高難度ではClaude Opus 5、Claude Fable 5、GPT-5.6 Solが有力な候補になり、日常のバランス、速度、費用、open-weightでは別のモデルが選択肢になります。

ベンチマークは能力の一部を測る道具です。版、推論設定、ツール、試行回数、エージェント環境が違う数字を一列の順位にせず、最後は自分の課題で正確さ、修正量、時間、費用を確かめることが、いちばん再現しやすい選び方です。

Taka’s View

モデルを一つに決めて安心したくなるけれど、更新の速い時期ほど「普段使う候補」と「難しいときに切り替える候補」を分けたほうが運用しやすいと思う。仕事で使うなら、華やかな一問の成績より、失敗を見つけやすいこと、費用を予測できること、人間が最後に確認できることを重視したい。

Hana & Taka

夜の窓辺の丸テーブルで、黒白猫のHanaとTakaがコーヒーをそばに静かに話している

Hana一番を探すより、自分の問いに合う相棒を探すほうが面白そう。新しいモデルが来ても、地図の読み方は使えそうだね。

Takaそうだね。数字を手がかりにしつつ、小さく試して確かめる。その手順を持っておくことが大事なんじゃないかな。

現行モデルと料金

評価方法と限界