Hana’s Note
Hana: 「AIが賢くなったなら、全部お願いした方が楽じゃないの?」
Taka: 「新しい判断が必要なところはそうかもしれない。でも、毎回同じ準備までAIに考えさせると、もったいない場合があるんだ。」
Hana: 「AIに仕事をさせるための道具を作るってこと?」
AIにできることが増えたなら、全部AIに任せればいいのか
AIへ依頼できる仕事は増えました。情報を整理する、ファイルを作る、データを形式変換する、定型文の下書きを作る。こうした作業をチャットに頼むと、まず何を渡すかを説明し、出力の形を伝え、結果を保存できる形へ戻すことになります。
ここで考えたいのは、AIが答えを作る部分だけでなく、依頼の背景を読み、手順を組み立て、形式を合わせる部分にも入力と出力が生まれることです。繰り返すたびに同じ説明を渡すなら、その部分を別の仕組みに分けられないかを考える余地があります。
この記事は、AIを使わない方がよいという話ではありません。人間やAIの判断が必要な仕事と、決まった手順で進められる仕事を分けるための、Takaの試作経験に基づく考え方です。
この記事の主張は二つ
- コストを考える。 毎回同じ説明、取得、変換、保存をAIへ渡さず、固定できる部分を分けると、AIに渡す文脈や推論の範囲を絞れる場合があります。
- ワークフローと出力の型を安定させる。 AIの生成には確率的な揺らぎがあります。一方で、入力の受け取り方、保存先、表の列順、ファイル名のような前後の手順は、ツールで固定しやすくなります。
ここでいう安定は、AIの答えが必ず同じになるという意味ではありません。生成結果の確認は必要なまま、繰り返し部分の流れと出力形式をそろえやすくする、という意味です。
Confirmed|トークンとAPIコストの基本
テキストAPIでは、一般にモデルへ渡す入力と、モデルが返す出力がトークン単位で記録・課金の対象になります。入力、出力、キャッシュ、ツール利用などの扱いは提供者とモデルによって異なるため、実際の料金は公式の使用量・価格ページで確認します。
同じ依頼を何度も行うと、毎回の指示、会話履歴、資料、出力が積み重なります。どれだけコストが増えるかは、モデル、入出力の長さ、再試行、キャッシュ、利用プランで変わるため、この記事では削減率を示しません。
一方、ファイル名の整形、決まった列への変換、指定場所への保存のように、入力と出力が比較的決まった作業は、通常のプログラムでも扱えます。プログラムは、同じ条件なら同じ手順を繰り返せるため、AIに状況を説明して判断させる必要がない部分を受け持てます。
API料金の見方そのものは、AIモデルの料金比較とAPIコストの考え方で整理しています。
生成AIの出力は通常、非決定的です。同じ入力でも結果が少し、あるいは大きく変わることがあります。だからこそ、生成に任せる部分と、固定の手順として扱う部分を分けて考えます。
AIに全部任せると、どこで余分な仕事が生まれるか
たとえば、動画の内容を読んで企画の材料にするとき、AIチャットだけで進めるなら、動画URL、必要な形式、保存先、整理の仕方を何度も説明するかもしれません。結果を受け取ったあとに、ファイル名を整えたり、別の場所へ保存したりする作業も残ります。
これはAIの能力が足りないという話ではありません。AIは、初めて見る資料の意味を取り、例外を扱い、次の選択肢を考えることに強みがあります。ただし、毎回同じ順番で行う処理までAIに判断させると、判断に必要な文脈と確認の往復も増えます。
| 仕事の性質 | AIチャットだけで進める場合 | 小さなツールと分ける場合 |
|---|---|---|
| 情報整理 | 資料の意味づけや優先順位を考えられる | 取得・命名・保存は決まった手順に寄せられる |
| ファイル作成 | 内容に合わせた文章や構成を作れる | テンプレートへの転記や形式変換を固定できる |
| データ変換 | 曖昧な列名や例外を読み取れる | 決まった列順・形式・保存先は自動化できる |
| 定型文章 | 相手や状況に応じた言い換えができる | 繰り返す前処理や下書きの配置を一定にできる |
| SNS投稿準備 | 内容に合う切り口の候補を出せる | 素材の収集、文字数確認、下書き保存を分けられる |
この表は、どちらか一方が常に正しいという比較ではありません。例外が多い仕事はAIと人間の判断を残し、繰り返し部分だけを固定する、と考えるほうが実際には扱いやすいと思います。
もう一つの目的は、出力の型を安定させること
家計簿の記録、売上の記録、決まった形式の報告書のように、出力に一定の型がほしい仕事があります。こうした仕事では、日付、金額、分類、保存先のような項目を決めた順番で扱えると、あとで見直したり、別の表へ渡したりしやすくなります。
AIに文章で毎回「この列順にして、この名前で保存して」と頼むこともできます。ただ、入力の説明や出力形式の解釈には揺れが残ります。ツール側で列順、必須項目、保存場所などを定めておけば、AIには「分類が曖昧なときに候補を出す」「説明文を下書きする」といった判断を任せやすくなります。
これは家計や売上の正しさ、会計・税務上の扱いを自動的に保証するものではありません。重要な記録は、元データ、計算、分類、法的な扱いを人間や必要な専門家が確認します。
AIとプログラムの役割分担
AIに任せやすいこと
- 文書の意味を読み、要点や論点を見つける
- 初めての問題に対して、選択肢や下書きをつくる
- 入力形式のゆらぎや、説明が必要な例外を扱う
- 人間が確認するための質問や観点を出す
プログラムに任せやすいこと
- 決まった形式の取得、変換、命名、保存
- 同じ手順の繰り返し
- 大量のファイルに同じ処理をかけること
- 明示した条件に沿った整理や記録
ここでいうプログラムは、大きな業務システムに限りません。自分のMacで動く短いスクリプト、URLを受け取って保存する小さなアプリ、表を整えるコマンドでもよいはずです。大切なのは、何を固定し、どこから判断を残すかです。
Experience|Takaが試している小さな分担
Takaは、動画URLから字幕を取り込み、あとで読める形で保存する小さなツールを試作しています。はじめは、AIに文章の抽出から保存までまとめて任せる形を試そうとしました。しかし最初の段階で、AIが外部サイトから字幕を取得するために必要な権限を持たず、取得そのものが進みませんでした。
そこで、URLだけを受け取り、字幕を取得できるときは保存し、字幕がなければ文字起こしを作ってテキストファイルへ保存する部分を、ツール側へ分けました。このツールは、毎回人が画面で操作するだけのものではなく、AIが呼び出せるようにしています。AIは関連する動画URLを探し、見つけたURLをツールへ渡して、取得・文字起こし・保存を順に実行できます。
AIには、保存した内容を読んで「どこが記事の問いになるか」「どの一次情報へ戻るべきか」「要約で落ちやすい条件は何か」を考えることを任せます。人間は、AIが扱ってよい範囲を決め、保存された結果と調査で使う内容を確認します。つまり、AIが自動で進める流れの中でも、権限と最終判断は人間側に残します。
こうすると、AIに渡す操作指示と状況説明を短くでき、推論に必要な文脈を絞ることにつながったと感じています。削減量を計測したわけではありませんが、AIの強みである、曖昧な依頼から関連性のある動画を探す判断に集中しやすくなりました。動画の内容をそのまま事実として使うのではなく、調査の入口として扱う点も、ツール化しても変わりません。
この経験は一つの試作例です。特定の内部構造、運用設定、他の作業環境を一般化するものではありませんし、同じ方法がすべての人に向くとは限りません。
トークン削減が期待できるのはどんなときか
次の条件が重なるほど、AIに渡す前の処理を小さなツールへ分ける余地があります。
- 同じ作業を何度も繰り返している
- 入力形式がある程度決まっている
- 出力形式や保存先が決まっている
- 毎回、同じ前提説明をAIへ渡している
ただし、ツールを作るにも時間がかかります。月に一度しか使わない作業や、例外が多く固定しにくい作業では、チャットで柔軟に進めた方がよい場合もあります。まずは数回繰り返して「同じ説明をしている」と気づいた作業から考えるのが現実的です。
トークン以外に考えられること
- 前処理を短縮できれば、結果を得るまでの待ち時間が減る場合がある
- 固定部分を同じ手順で処理できれば、結果の形式をそろえやすい
- ローカルで済む処理を分けられれば、外部AIへ送る情報を減らせる場合がある
- 保存・整理・実行の範囲を分けると、どこに権限が必要かを考えやすくなる
これらは設計上の可能性であり、自動的に実現する効果ではありません。処理内容、利用するサービス、データの性質に応じて、実際に確認します。
AIに自作ツールを作らせるときの考え方
プログラミング経験が多くなくても、いきなり「アプリを作って」と頼む前に、作業を分けるところから始められます。
- 繰り返している作業を見つける。 URLを受け取る、名前を付ける、同じ表を整える、同じ場所へ保存する、といった手順を書き出します。
- AIに、固定できる部分と判断が必要な部分を分けてもらう。 たとえば「この作業の中でプログラム化できる部分と、人間やAIの判断が必要な部分を分けて」と尋ねます。
- 小さく固定処理をつくる。 最初は一つの入力、一つの出力、一つの保存先だけでも十分です。
- AIには判断が必要なところを任せる。 内容の解釈、例外の相談、次に調べる問い、文章の下書きなどを残します。
AIにコードを作ってもらう場合も、生成されたものをそのまま実行しません。入力データ、保存先、外部送信、上書きの有無を確認し、失敗しても戻せる小さな範囲から試します。
Proposal|AI時代の「効率」は、全部をAIに渡すことではない
AIが使える場面は増えていきます。それでも、AIが毎回考えなくてよい部分を分けると、AIには新しい資料の理解、例外への対応、人が決めるための選択肢づくりに集中してもらえます。これは、コストの見通しを立てることと、ワークフローや出力の型を安定させることの両方につながる可能性があります。
私は、便利さを「人間が何もしなくてよくなること」だけとは考えていません。どの処理が固定され、どの判断をAIに任せ、どこを人間が確認するかが見えることも、使い続けるための効率の一部になると思います。
Limitations and points to consider
- APIの課金方式、料金、キャッシュ条件、利用上限はサービスごとに変わる。
- ツール化は、初期の設計・実装・保守の時間を必要とする。
- 自動化しても、入力の間違い、保存先の誤り、権限設定の不備は起こりうる。
- 個人情報、機密情報、著作権のある資料を外部AIへ送る前に、利用条件と扱いを確認する。
- Takaの経験は一つの例であり、効果の大きさを保証するものではない。
Summary
繰り返し作業をすべてAIに考えさせる必要はありません。取得、変換、保存のような固定処理を小さなツールへ分け、AIには内容理解、例外、問いづくりを任せると、使い方を整理しやすくなります。
最初は、毎回同じ説明をしている作業を一つ見つけるだけで十分です。そこで固定できる部分と判断を残す部分を分けると、自分に合ったAIの使い方が少し見えてくるはずです。
Taka’s View
自作ツールを増やすこと自体が目的になると、かえって手入れするものが増えてしまう。だから私は、何度も繰り返していて、失敗しても戻せる小さな作業から切り出すのがよいと思う。AIに任せる範囲を減らすのではなく、AIが本当に考えるべき仕事を残すための準備なんじゃないかな。
Hana & Taka
HanaAIに任せるために、先に道を整えることもあるんだね。
Takaそうだね。道具とAIと人の役割を少しずつ決めると、次に何を任せるかも考えやすくなると思う。
